エリアが拡大する樹皮剥ぎの被害について
クマ出没が今年は非常に多い年であり、農作物はもちろん、人への被害も報道されています。
福井県では、柿の木や栗の木など実のなる木(獣害支障樹木)の伐採を無償で行うなどしてクマ対策をする自治体があります。森の環境が変化し、野生動物の食料が不足しているため、民家や市街地に下りてくるということです。
シカについても捕食者であるニホンオオカミが絶滅して以来、爆発的に頭数が増えてきております。シカは草食動物ですので、若芽や花などを食べます。その他の記事にも多く取り上げておりますが、『樹皮剥ぎ・幼苗への食害』への対策が喫緊の重要課題となっています。
Index
森林を保全する活動<間伐と皆伐>
■間伐とは
木を植栽してから収穫となる主伐(※1)を行うまで50年以上の歳月を要します。(※1)主伐(しゅばつ)とは、木材として利用するために、伐採時期が来た樹木を収穫することです。これは、林業における「収穫」にあたります
その期間、森林を健全な状態で保つために生育の途中で木を間引くことが必要になります。木を植栽する際に、たくさん植えた苗がそのままの状態で成長するので、15年も経過すると山は伸びた枝葉で混雑状態となります。その状態で放置すると、太陽の光が届かなくなり、呼吸のできない真っ暗な森となってしまいます。根も育たなくなるので土壌はゆるみ、生き物の生態系も保てなくなるため、木の成長にも影響が出てしまう恐れがあります。そうなる前に太陽の光をたっぷり浴びるよう、適切な間隔で木を間引いて成長を促す「間伐」が必要となるのです。間伐を実施することにより森林は健全に保たれ、商品価値の高い木材を生み出すことができるといえます。
■皆伐(全伐)とは
木が収穫時を迎えると主伐が実施されます。同じ時期に植栽した木は軒並み収穫時期を迎えているため、全て収穫されます。その収穫時期を迎えた木をひと区間まとめて伐採することを「皆伐(全伐)」といいます。これ以外も収穫する木を選んで伐りだす「択伐」という方法もありますが、日本の林業では皆伐を実施している山が多いようです。以前は広範囲で大量に伐採を実施していましたが、土壌へのダメージが大きいため規模を縮小して実施する傾向があります。地域によっては長い期間をかけて択伐へとシフトしているところもあり、皆伐の方法も時代に合わせて変わってきています。
■間伐と皆伐(全伐)の違いとは
間伐と皆伐(全伐)は樹齢とその目的に違いがあります。間伐は主伐するための木の成長を促すための間引くことを指し、皆伐(全伐)は主伐期を迎えた木の収穫を指します。また間伐は樹齢15年~30年前後の若木を伐採しますが、皆伐は50年経過して成長した木を伐採します。
福井市内のシカ剥ぎの現状
10月のとある日、福井市内の山林へお邪魔してまいりました。こちらのエリアは皆伐地となります。植栽を行い、再造林をする地域です。

伐採された木は、主に50年生(年輪が50入った木)でした。
シカが生息する山林
入山し、見渡すと10頭ほどのシカを発見しました。画像が粗いですが、中央にシカが写っています。

シカを見つけた場所まで行ってみることにしました。
剝がれた直後の木
遠目からはわかりませんでしたが、近くに行って驚きました。先ほどのシカたちがまさに『樹皮剥ぎ』をしていたのです。


木の皮を剥いで採食する行為は、主に冬、餌がない時期に起こるといわれます。分厚い樹皮をめくり、中の皮を食べるため、木の周りは散らかっています。この樹皮剥ぎが森林・林業分野では大きな問題となっており、被害に遭った木は価値が下落し、最悪枯損死することもあるのです。
資材メーカーとしてのできること・すべきこと
われわれグリーンコップは森林保護資材製造メーカーとして、アタック防御に優れ、軽い運搬性や効率の良い施工性を重視し、山林所有者様や森林組合様、林業業者様に求められるようなモノづくりに取り組んでいます。

