森林の働きとは?森林が担う役割について分かりやすく解説
日本は国土の67%を森林が占める世界有数の森林大国です。四季のある気候や豊かな水資源、そして多様な動植物の生息地が広がる背景には、この広大な森林の存在があります。
生活と密接に関わる森林の役割は多面的ですが、「森林の働き」について具体的な役割をご存知でしょうか?
この記事では、持続可能な社会を築くうえで欠かせない森林の8つのはたらきについてご紹介していきます。
Index
森林が担う8つの働きとは?
森林は地球や生活に恩恵をもたらす重要な8つの役割を担っています。ここからは森林の役割について一つ一つ解説していきます。
地球温暖化の防止
森林は光合成によって大気中の二酸化炭素(CO₂)を吸収し、酸素を放出する「地球の肺」ともいえる存在です。
特に若い樹木は炭素を多く吸収・貯蔵する能力が高く、伐採された後も木材として炭素を固定し続けます。日本の森林が年間に吸収するCO₂はおよそ1億トンと言われています。
これは国内の自家用乗用車の排出量の約7割に相当する量であり、地球温暖化の抑制に大きく貢献しています。
水源涵養や水質浄化
水源涵養(すいげんかんよう)とは、雨水を森林がいったん貯え、ゆっくりと地下水や河川へと供給する働きのことを指します。
森林の土壌は、落ち葉や微生物の働きによってスポンジのような構造になっており、雨が降ってもすぐに流れ出るのではなく、一時的に水を蓄えながら、少しずつ放出してくれます。この働きによって、洪水や渇水のリスクが減り、一年を通じて安定した水量を保つことができます。さらに雨水が土壌や岩石層をゆっくりと通過することで不純物がろ過され、ミネラルを含んだきれい
な水ができあがります。
私たちが毎日使っている水道水や農業用水、飲料水の多くは、こうした森林の働きによって支えられています。
土砂災害の防止
樹木の根は地中深くに広がっており、地盤をしっかりと固定しています。このため、豪雨や洪水、台風など自然災害が起こった際でも土砂崩れや地滑りのリスクを軽減できます。また、地表を覆う落ち葉や下草が雨水の直撃を緩和し、土壌の流出を防ぐ役割も果たします。
生き物の保全活動
森林は多種多様な生物にとっての「すみか」です。植物や菌類、小型の昆虫から哺乳類、鳥類、爬虫類に至るまで、数多くの生物が複雑に関係し合いながら生態系を構成しています。森林を守ることは、森に棲む生き物、植物の多様性の保全に直結し、遺伝資源や生態系全体のバランスを維持することに繋がります。
木材・食資源など物質の生産
森林は木材をはじめ、キノコや山菜、薬用植物など、私たちの生活に欠かせない資源を生産しています。森の環境で育つ資源は、適切な管理のもとで持続的に生産できる再生可能な資源として、循環型社会において重要な役割をもっています。
快適な環境づくり
森林は、私たちの暮らしにとって快適な環境をつくり出す、大切な役割を担っています。
木々は、日差しを遮る日陰をつくり、葉から水分を蒸発させる「蒸散」という働きによって、周囲の気温を下げることができます。
木々の働きにより、夏の暑い時期には森林周辺の気温が2〜3℃ほど低く保たれ、都市部で問題となっているヒートアイランド現象の緩和にもつながっています。
また、森林の木や葉、枝には空気中のチリやホコリ、有害な化学物質を吸着する作用があり、これにより大気の浄化にも寄与しています。とくに、排気ガスやPM2.5などの微粒子の一部をキャッチする能力があるため、空気をきれいに保ち、健康的な生活環境を維持するうえで重要な役割を果たしています。
レクリエーション機能
森林浴や自然散策といったレクリエーション活動には、心身の健康を促進する効果が科学的にも実証されています。
自然の中で体を動かすことで、ストレス軽減や免疫力向上、集中力の改善といった効果が期待され、多くの人々に癒しとリフレッシュの場を提供しています。
文化・教育に活かされる
森林は、日本文化や宗教観、伝統行事などとも深く結びついており、精神的・文化的価値を育む場としても活用されています。
また、森林は文学・絵画・音楽などの芸術作品のインスピレーション源としての役割も同時に担っています。
森林での体験活動(森林学習、森の幼稚園、自然観察会など)は、子どもたちの五感や想像力、観察力の発達にも寄与すると言われており、環境教育やSDGs学習の場としても森林の価値が高まっています。
グリーンコップの森林保護活動の取り組み
多様な働きを持つ森林ですが、近年では野生動物による「樹皮剥ぎ」などの害獣被害といった課題に直面しています。
害獣被害が大きくなると、木材としての価値の喪失や生物多様性の崩壊、さらには土砂災害リスクの増加といった問題が引き起こされる可能性が高まります。
生活と密接する森林への被害を抑えるため、グリーンコップでは森林保護活動に積極的に取り組んでいます。
害獣対策への取り組み
クマやシカによる被害が拡大する中、森林を守るには単なる伐採や植林だけでは不十分です。森林の整備・保全に向け、幼齢木保護ネットや樹皮剝ぎ防止テープ製品を開発し、提供しています。
≫グリーンコップの森林保護商品一覧はこちら
しれとこの100平方メートル運動に貢献
森林生態系保護地域にも指定されている北海道の知床半島で、エゾシカによる樹皮剥ぎ被害に対し、弊社の樹皮剥ぎネット「ワイルド」が導入されました。このネットは樹木に巻きつけることで、シカの食害を物理的に防止します。既存の防シカ柵に頼らない新しいアプローチとして現在でも活用されています。
森林の働きを守るために活動していきます
森林は、地球や私たち人類の未来にとっても欠かせない存在です。森林の働きは、温暖化防止や災害予防、水資源の確保から健康的な体づくりに至るまで広範囲に及びます。
その一方で、森林は害獣被害などの多くの危機に直面しています。害獣対策や保護活動は森林の多面的な役割を守り、持続可能な社会をつくることに貢献しています。