家庭菜園の動物被害を防ぐ!効果的な防獣ネットの使い方について解説
丹精込めて育てた野菜や果物が、一晩で野生動物に食べられてしまう――。近年、こうした被害が家庭菜園でも急増しています。
特に中山間地域だけでなく、都市部や郊外の住宅地でもハクビシンやアライグマ、カラスなどの野生動物による被害が後を絶ちません。被害を受けた菜園では収穫量の減少だけでなく、継続する意欲の低下や精神的ストレスにもつながりかねません。
家庭菜園における動物被害は、従来の農業被害と同様に深刻であり、しっかりとした知識と対策が必要です。本記事では、獣害に詳しい専門家の知見をもとに、家庭菜園で起こりがちな動物被害の特徴や、効果的な防除方法をわかりやすくご紹介します。
ご家庭の菜園を守るために、ぜひ最後までご覧ください。
Index
深刻化する家庭菜園の動物被害
家庭菜園で発生する動物被害は、地域や季節によって異なりますが、近年は都市近郊でもさまざまな害獣の侵入が確認されており、
その対策がますます重要になっています。ここでは、家庭菜園でよく見られる動物たちの特徴と被害の傾向についてご紹介します。
小型〜中型動物による食害
・ハクビシン
ハクビシンは夜行性で薄暗い場所を好む傾向があります。また、体が非常に柔軟で8cm程度の隙間でも通り抜けられるため、柵と地
面のちょっとした隙間から簡単に侵入される可能性があります。スイカやブドウ、サツマイモなど甘みのある果物や野菜が好物とし
て挙げられます。ハクビシンは住宅の屋根裏に棲みつくケースもあり、住宅被害にも注意が必要です。
・アライグマ
アライグマは北米原産の外来種で、近年農作物への被害が急増しています。雑食性で前足を器用に使い、複雑な仕掛けも難なく解除
してしまうことがあります。アライグマは知能が高く、単純な対策だけでは効果が薄くなってしまうため、作物への被害が見られた際には、厳重な対策を行うことをおすすめします。スイートコーン、メロン、スイカなど、実の大きな作物が特に被害を受けやすく、
繁殖力も強いため、継続的な対策が求められます。令和4年度(2022年) ではアライグマの農作物被害額が全国で4億5千万円を超える
ほど被害が拡大しています。
出典:アライグマ防除の手引き | 環境省 自然環境局 野生生物課 外来生物対策室
・イタチ・ネズミ類
イタチやネズミは体が小さいため、狭い穴や地中を通って侵入するケースが多く、地面に近い果菜類(スイカ、メロンなど)を好んで食害します。一度侵入経路を見つけると繰り返し狙ってくるため、徹底した封鎖が重要です。
大型〜中型動物による農作物被害
・サル
非常に高い知能を持ち、群れで行動することが多く、防護策、電気柵の仕組みを学習して回避することもあります。果物や野菜など幅広い作物を好み、収穫直前の熟成された作物を選ぶ傾向もあるため、収穫時期だけでもしっかりと対策を行う必要があります。
また、人慣れが進んでしまうと、人里に頻繁に出没するようになり、追い払うことが難しくなります。
・イノシシ
イノシシは夜行性で、鋭い牙や立派な鼻を使って、土を掘り起こすため、根菜類への被害が顕著に見られます。また、作物への被害だけでなく、畑全体を荒らして果樹や他の食材も被害にあってしまうこともあります。鋭い牙とパワーがあるため、簡易的な柵だけでは簡単に突破される可能性もあるため、早い段階で対策を行っていくことが重要です。
・シカ
シカは広範囲にわたって草本類や樹皮などを好むため、農作物全体への被害が目立ちます。また2m以上のフェンスも難なく飛び越える跳躍力を持っているため、対策が難しい害獣として警戒を怠ることができません。
鳥類による被害
・ムクドリ・カラス
果実やトマト、とうもろこしなどが主なターゲットです。集団でやってきて短時間で大きな被害をもたらすこともあります。
・セキレイ・ツバメなど
家庭菜園や農作物への被害以外にも倉庫やベランダなどに巣を作り、糞害や騒音被害をもたらします。鳥害対策として大型の防鳥ネットの需要が高まっています。
昆虫類による被害
・⻘虫など
⻘⾍はキャベツや⽩菜、小松菜などのアブラナ科の野菜を好みます。⻘⾍の食害が進むと葉がボロボロになり、作物の成⻑や品質に大きな被害を与えます。無農薬栽培や減農薬栽培にこだわる方には、農薬に頼らない防⾍ネットの導入がおすすめです。
効果的な獣害対策の基本原則
家庭菜園を野生動物の被害から守るには、単にネットや柵を設置するだけでは不十分です。害獣は環境や対策の変化に敏感で、場合によっては人間の行動パターンすら学習して対策を回避することがあります。そのため、⻑期的に効果を持続させるには、基本原則に基づいた総合的なアプローチが重要となってきます。
1. 動物の生態・習性を正しく理解する
効果的な防除の第一歩は、対象となる動物の行動パターンや特性を把握することです。たとえば、ハクビシンやアライグマは夜行性で、甘みのある作物を好む一方、サルは昼行性で賢く集団行動を取ります。
このような動物ごとの違いを理解せずに対策を講じても、期待する効果が得られない可能性が高くなります。
例えば「夜に被害がある=夜行性動物の可能性が高い」というように、被害の時間帯や作物の種類から相手を推定することも重要です。
2. 複数の対策を併用する
害獣は環境に順応し、一つの対策に慣れてしまう性質を持っています。そのため、ネットだけ、音だけといった単一の対策では⻑期的な防除は難しく、複数の方法を組み合わせて使用することが有効です。
「防獣ネット+忌避剤」「電気柵+超音波装置」のように、物理的・心理的な手段を組み合わせることで、より効果的な忌避効果が得られます。
さらに、同じ対策でも季節や時期によって設置位置を変更する、使用するタイミングをずらすなど、ランダム性を持たせることで慣れを防ぐことができます。
3. 環境整備
多くの動物被害は、動物にとって魅力的な環境が原因で引き起こされます。したがって、害獣を引き寄せる要素を取り除くことも非常に大切です。
・食べ残しや落果などの農作物残渣は放置しない
・生ゴミや堆肥を密閉・適切に管理する
・雑草や耕作放棄地を放置せず、隠れ場所をなくす
・水たまりや小川などの水源を管理する(動物の水飲み場にならないように)
このような環境整備は未然に動物被害を防ぐためのベースであり、他の対策と組み合わせて初めて高い防除効果を発揮します。
動物被害に合わせた防獣ネットの選び方
防獣ネットやフェンスなどを用いて、物理的に害獣の侵入を防ぐ方法は害獣対策の中でも最も基本的な手段です。動物は餌にありつけない状況が続くと、別の場所へ移動していく傾向があるため、農園や畑への侵入を阻止することで被害の削減に繋がります。
防獣ネットを選ぶポイント
防獣ネット選びでは、動物の体格や習性を考慮した目合いや強度の商品を選ぶことが非常に重要です。
また、商品を見定めるだけでなく、適切な設置方法も重要となります。防獣ネットやフェンスに隙間があると、小動物やイノシシといった動物は容易に地面との隙間をくぐって侵入することができます。
【動物に合わせた防獣ネットの選定】
・イノシシ対策:10cm以下の目合いが理想
・シカ対策:15cm以下で2m以上の高さが必要
・イタチ・ハクビシン:16mm以下の細かい目合いが効果的
動物の食害が見られても何の動物か定かでない場合は、最低でも5cm以下の網目の防獣ネットを選ぶようにしましょう。
【効果的な設置方法】
・1〜2m間隔に支柱を設置し、防風に耐えられるように30cm〜50cmほど地面に埋めるように打ち込む
・地面の下を掘って侵入されないために、ネットの裾は30cm以上地中に埋め込む形でネットを設置
または地面に垂らしたネットに杭やピンなどで固定し、穴掘りを防止
防獣ネットは中小規模の農地や家庭菜園でも設置しやすいため、害獣の食害にお困りの方は是非取り入れてみてください。
防鳥ネットの活用
果樹やトマト、ブルーベリーなどを狙うカラスなどの鳥類には防鳥ネットを活用しましょう。
防鳥ネットを選ぶ際には、糸が太く耐久性の高いものを選ぶことがポイントです。また、育てている作物に合わせて適切なサイズのネットを選ぶこともポイントです。
支柱を用いて育てるトマトやピーマン、ナスなどの野菜には周囲を覆うための大きめのネットが適してします。
一方、背の低い野菜や作物に対してはトンネル状に設置できるネットがおすすめです。
防虫ネットの選び方
葉物野菜に発生しやすい⻘⾍などの害⾍対策が可能な防⾍ネットでは、目合いが小さいければ防⾍効果が高まりますが、農作物にとってはその分通気性が落ちてしまうため、十分な高温対策を実施することがおすすめです。
農薬に頼らず、防⾍対策をしたいという方は防⾍ネットを活用することで農作物を食害から守ることが可能です。
防⾍ネットは一般的に光の透過率が高い⽩色のものが多いですが、⾍の種類によっては色付きのネットを選ぶことも推奨します。
種類によってことなりますが、色によって誘引される⾍も存在するため、コナジラミ類は⻩色、アザミウマ類は⻘などネットに色を付けてトラップとして活用するケースもあります。
害獣ネットとあわせて行いたい害獣対策
忌避剤(きひざい)
忌避剤(きひざい)とは、野生動物が本能的に嫌がる「におい」や「味」を利用して、畑や家庭菜園への侵入を防ぐ資材です。
唐辛子成分、ウルフピーなど対象となる動物によって苦手とする成分が異なりますので、状況に応じて使い分けが必要です。
超音波・光を利用した撃退装置
センサーと連動して作動する自動撃退装置も、近年注目されています。人間には聞こえない高周波音や不規則な光など複数の刺激を与えることで動物に不安感を与える仕組みです。
たとえば、ネズミやイタチなど聴覚が鋭い動物には超音波、イノシシやハクビシンなど夜行性の動物にはフラッシュライト式の撃退装置を設置することで害獣対策が可能です。
誘引物の除去
動物は強い嗅覚で餌の匂いを察知するため、農地や菜園の付近は常に綺麗にすることをこころがけましょう。
収穫後に残った果実・野菜の切れ端や地面に落ちたトマト・ナス・スイカなどの果物類は動物を呼び寄せる原因となります。
農作物の収穫後には畑の清掃を習慣的に取り入れるようにすることで害獣対策に繋がります。
家庭菜園の害獣対策にはネットを活用しよう!
家庭菜園における動物被害は、近年ますます深刻化しており、害獣対策の重要度も高まっています。イノシシやアライグマ、サル、ハクビシンなど、さまざまな野生動物が農作物を狙って出没し、せっかく育てた野菜や果物が一晩で台無しになることも少なくありません。
こうした被害から大切な菜園を守るためには、動物の習性を正しく理解し、状況に応じた多角的な対策を講じることが不可欠です。
被害状況や害獣・害⾍に合わせて害獣ネットを活用し、その他の対策と組み合わせることで動物被害を減らすことに繋がります。
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使用後は燃えるゴミとして簡単に処分することができ、環境に配慮した製品開発を行っておりますので、家庭菜園での動物被害にお困りの方や、農園での害獣対策を検討している方は防獣ネットの導入のサポートが可能な弊社までお気軽にご相談ください。